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東京地方裁判所 平成11年(ワ)16249号 判決

主文

一  被告北光商事株式会社は、原告に対し、別紙物件目録一〈略〉1ないし3の各不動産について、別紙根抵当権目録一〈略〉の根抵当権の、平成一〇年一〇月一九日元本確定を原因とする各根抵当権元本確定登記手続をせよ。

二  被告甲野花子は、原告に対し、別紙物件目録二〈略〉1ないし5の各不動産について、別紙根抵当権目録二〈略〉の根抵当権の、平成一〇年一〇月一九日元本確定を原因とする各根抵当権元本確定登記手続をせよ。

三  訴訟費用は被告らの負担とする。

事実及び理由

一  原告の請求

主文と同旨。

二  請求原因(争いなし)

1  原告は、平成七年六月二九日、被告甲野花子との間で、別紙物件目録二〈略〉1ないし5の各不動産について、別紙根抵当権目録二〈略〉のとおりの内容で根抵当権を設定し、平成八年三月一二日、被告北光商事株式会社(被告会社という。)との間で、別紙物件目録一〈略〉1ないし3の各不動産について、別紙根抵当権目録一〈略〉のとおりの内容で根抵当権を設定し(以上を本件根抵当権と総称する。)、それぞれの旨の登記手続をなした。

2  原告は、平成一〇年一〇月一九日、解散決議をなし、被告会社との信用組合取引、手形取引及び小切手取引を終了した。

三  被告らの主張及び当裁判所の判断

1  被告らは、本件根抵当権は被担保債権が相殺により消滅したことにより元本確定時に消滅したから、原告は本件根抵当権の元本確定登記手続を請求することはできないと主張する。

確かに、根抵当権の元本確定時に被担保債権が存在しなければ、根抵当権は消滅し根抵当権設定者は根抵当権設定登記の抹消登記手続を請求し得るが、根抵当権の元本確定自体は、根抵当権の被担保債権を特定するためになされるものであり、特定されるべき被担保債権の存在、不存在とはかかわりなく、元本確定事由の有無により決せられるべきものであるから、被告らの主張は、元本確定登記手続請求に対する抗弁とはなり得ないもので、主張自体失当というべきである。

2  よって、原告の請求は理由があるから認容することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 田中寿生)

(別紙)物件目録一、二〈略〉

根抵当権目録一、二〈略〉

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